惑溺
 


仕事を終えてタイムカードを押す時
夜の道を歩いている時
夜中にひとり目を覚ました時
アパートの鍵を開ける時

心の隙間を付くように
ふと、リョウの事を思い出した。


その度に私は目をつぶり過去を振り払う。

きっと今頃リョウは新しい彼女を作ってる。
そして、愛もない相手を弄んで自分の支配欲を満たしているんだ。



リョウの暗く冷たい瞳を思い出す時

いつも胸は痛んだ。



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