惑溺
 
早く地下鉄こないかな……。

彼と同じ空間にいることが落ち着かなくて、リョウの事をちらちらと見ながら何度もレールの向こうを確認していると
ふ、と何かが記憶に引っ掛かった。

壁にもたれるリョウの左手首。
そこにはまった、見覚えのある茶色の物を見つけて思わず叫びそうになった。




どうして?

あまりの驚きに心臓が止まる。
体が凍り付き鳥肌がたった。



リョウ、どうして……?




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