惑溺
よたよたと軽くふらつきながら小さくなっていく木暮の後姿の情けなさに、思わず小さく吹き出した。
なんなんだ、一体。
何を言いたかったのか、さっぱり分からない。
これだから酔っ払いは。
苦笑いをしながら、店の中を軽く片付ける。
もう朝だ。
カウンターの隅においてある、日付の表示されるデジタル時計。
その日付に思わず手が止まった。
クリスマスイブか……。
三年たった今でも、クリスマスイブは少しだけ苦い思い出がつきまとう。
今年は雪が降らなければいいな、そんな事を思った。