惑溺
 



シャッターを開け、半地下へと続く階段を下りる。




使い込まれた深い色の厚い木の扉を開け、暗い店の中手探りで照明のスイッチを押した。
落ち着いた間接照明が、存在感のある一枚板のカウンターを照らした途端

「うわぁ……」

俺の後ろにいた由佳が声を上げた。

「三年前と変わってないね。
なんだか懐かしい」
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