惑溺
「イイ男って……」
他にも聞くことはあるでしょうに。
博美らしい質問に苦笑しながらも、三年ぶりに会ったリョウの事を思い出す。
あの頃よりずっと大人びていたリョウ。
三年分大人になり落ち着いた分、人を拒絶するようなあの冷たい雰囲気は和らいで、あの頃抱えていた色んなわだかまりを削ぎ落としたようにどこかすっきりした顔をしてた。
でも、ふと絡む視線はやっぱり色っぽくて、目が合う度にドキドキして……。
「由佳、顔赤くなってるよ」
博美の声で我にかえった。
「やめてよ、赤くなってないよ!」
からかう博美を睨みながら、確かに少し火照った頬を誤魔化すようにコーヒーを飲んでいると、
博美は私の瞳を、真顔でまっすぐにみつめてきた。
「由佳さ、今でもリョウくんの事が好き?」