惑溺



土曜日の夜。
私は珍しくリョウのお店にいた。



こじんまりとして、でも落ち着ける上品な内装。
バックバーに整然と並ぶ、たくさんのお酒のボトル。
磨きあげられた一枚板のバーカウンター。

いつもは穏やかな音楽が流れる店内だけど、閉店後の今は水音とグラスの擦れる音だけが、微かに響いていた。


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