惑溺
「……賞味期限」
「え?」
賞味期限?
ポツリ、とつぶやいたリョウの言葉が理解出来ず聞き返すと
「プリンの賞味期限今日まで。
お前が買ってきたんだから責任もって食べてけよ」
ぽかんとする私に、リョウはさっさと靴を脱いで部屋に入って行った。
ああ、プリンの賞味期限ね。
納得した時には彼はもう部屋の中。
はぁ……。
またリョウのペースに乗せられた。
私は大きくため息をつきながら、仕方なく玄関に入りショートブーツをゆっくりと脱いだ。