片想い【短編】



「別に、今の彼氏に限ったことじゃないんだけど…」


そう。
さっき弥生が言った通り、
私は恋愛の経験が全くない


彼氏は人並みにいたんだけど…


「…好きって気持ちがわかんないの」

「…」

「昨日ね、拓哉(彼氏)に『俺、ずっと瑠花に片想いしてたんだ。だから、こうやって付き合えて幸せ!』って言われたの…。
私拓哉のこと好きかどうかもわかんないし、それ以前に好きって気持ちも分かんないし。」

「…じゃあ、瑠花は今までずっと好きかどうかも分かんない相手と付き合ってたの?」

「…うん」


うわー…
いまさらながら
ものすごい失礼なことだよね


「なんじゃそりゃー!?…まあ、しってるけど」

「ねえ、好きって何?片想いって何?どうしたら好きってなるの?家族とか友だちの好きとどう違うの?ねえなんで??」

「うわうわ、分かった分かったから!」


そして弥生は、
ゴホンッと、わざとらしい咳払いをし、
めがねをかけてもないのにもちあげるまねをして、私を指さしこういった。


「自分で恋すればいいじゃない」


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