近いようで、遠い存在のキミ (完)
「私もゆうくんみたいに、好きなことを仕事にしたいんだ。楽しそうに演技をしてるゆうくんの姿見てたら、私も頑張ろうって思えるんだ」
私も好きなことを仕事にして充実できたらいいなって思う。
自分のためでもあるけど…ゆうくんにも少し近付ける気がするから。
「オレ、楽しそう?」
「え?うん!」
「そっか」
ゆうくんはにこっと笑った。
でも、いつもと笑い方が違う気がした。
「…ゆうくん?」
私は何か変なこと言ったかな、と不安になって、ゆうくんの顔を覗き込む。
一点を見つめていたゆうくんが、ハッと顔を上げたのが見えた。
その姿に、少しだけ違和感を感じた。
「あ、うん。普段そういうこと聞けないし嬉しいなって思って。ありがとう」
「ううん!私の方がありがとうだよ!」
「うん。りっちゃんもがんばって」
ゆうくんが微笑んでくれる。
あ、いつものゆうくんだ…。
良かった…。
そのいつもの表情に私はホッとした。