近いようで、遠い存在のキミ (完)
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試験期間がやっと半分終わった。
残り1週間。
まだまだ先は長い…。
「はぁ~疲れたぁ…」
私は重い足取りで、アパートの階段を上り、部屋に向かう。
「あ、帰ってきた」
「え!ゆ、ゆうくん!?」
何で…?
玄関前に、手をヒラヒラと振っているゆうくん。
ふわっとした笑顔にドキドキする。
びびびっくりした…。
「おかえり」
「う、うん、ただいま…。何でここに?」
ゆうくんが私を安心させてくれるかのように、にこっと笑ってくれる。
「外の空気吸いたくなってさ~。それに、何となく、りっちゃんそろそろ帰ってくるかなって思ったから」
「へ?」
「うん」
何か今、さらっとすごいこと言われた気がする…。
き、気のせいかな…。
「ちょっと話さない?勉強忙しい?」
「へっ、い、いや、大丈夫!話したい!」
う、うそ…ヤバい…嬉しい…!
「荷物置いてきなよ」
「あ、うん!」
「じゃあ、ここにいるね」
「ありがとう!」
私は急いで玄関に向かう。
急ぎつつも、チラッとゆうくんを見ると、目が合う。
笑い返してくれる。
わ!
何だか照れ臭くて、慌てて視線を反らす。
ひえぇ…何だ、これー?
私は家の鍵を出す。