近いようで、遠い存在のキミ (完)
 

**********


試験期間がやっと半分終わった。


残り1週間。


まだまだ先は長い…。


「はぁ~疲れたぁ…」


私は重い足取りで、アパートの階段を上り、部屋に向かう。


「あ、帰ってきた」


「え!ゆ、ゆうくん!?」


何で…?


玄関前に、手をヒラヒラと振っているゆうくん。


ふわっとした笑顔にドキドキする。


びびびっくりした…。


「おかえり」


「う、うん、ただいま…。何でここに?」


ゆうくんが私を安心させてくれるかのように、にこっと笑ってくれる。


「外の空気吸いたくなってさ~。それに、何となく、りっちゃんそろそろ帰ってくるかなって思ったから」


「へ?」


「うん」


何か今、さらっとすごいこと言われた気がする…。


き、気のせいかな…。


「ちょっと話さない?勉強忙しい?」


「へっ、い、いや、大丈夫!話したい!」


う、うそ…ヤバい…嬉しい…!


「荷物置いてきなよ」


「あ、うん!」


「じゃあ、ここにいるね」


「ありがとう!」


私は急いで玄関に向かう。


急ぎつつも、チラッとゆうくんを見ると、目が合う。


笑い返してくれる。


わ!


何だか照れ臭くて、慌てて視線を反らす。


ひえぇ…何だ、これー?


私は家の鍵を出す。

 
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