近いようで、遠い存在のキミ (完)
ふっと目の前が真っ暗になる。
「えっ!?なにっ?」
何が起こってるの…?
真っ暗で何も見えない。
停電、と気付く余裕もなかった。
ピカッ
ドッシーン!
「やーーーっ!」
イキナリの雷に、私は力のまま叫ぶ。
やだ、やだ…
誰か…
「……っちゃん!?りっちゃん!?大丈夫!?」
……!
玄関の向こうから声が聞こえてくる。
「…ゆうくん…?」
私は転びそうになりながら、玄関に向かう。
ガチャガチャと鍵を開けて、ドアを開けた。
そこには、ゆうくんの姿。
「りっちゃん!?だいじょ…」
「ゆうく…!」
無我夢中だった。
気が付いたら、ゆうくんの胸にしがみついていた。
「こ、こわかっ…」
「りっ……もう大丈夫……安心して。オレがいるから、ね?」
ゆうくんの手が、私の頭をゆっくりと撫でる。
ゆうくんの言葉の意味なんて、その時の私には何もわからなかった。
ただ、ゆうくんの温もりを感じるだけで安心できた。