近いようで、遠い存在のキミ (完)
ゴロゴロゴロ~…
私の身体が雷の音にピクッと反応する。
怖いぃ…
「…りっちゃん?部屋、入っていい?」
「え…?」
私はゆうくんの胸から、ゆっくりと顔を離してゆうくんの顔を見上げる。
「あ、変な意味じゃなくて、ここだと直で雷が、ね?玄関のところでいいから」
「………うん」
私はこくんと頷いた。
―――…
雷の音が遠くなり始めた。
私はまだ、ゆうくんの胸の中にいた。
雷がなるたびに、私を安心させるように、ゆうくんの腕に力がこもるのを感じていた。
何も言わずに、傍にいてくれる。
このままずっと…なんて、図々しい考えが頭をよぎる。
「……意外」
「え?」
私はゆうくんから身体を離そうとするけど、できない。
あ、あれ?
ゆうくんの腕に力がこもっていて、私の身体は離れない。
「ゆ、ゆうくん?」
「りっちゃんって雷ダメなんだね。平気そうなのに」
ゆうくんの声にからかいが入っていたことを私は聞き逃さなかった。
身体に力を入れて、ゆうくんから身体を離す。