近いようで、遠い存在のキミ (完)
くっ苦しい!
酸素酸素!
「むぐぐ~」
私は必死にもがいて抵抗するけど、私の口を塞ぐ手の力は弱まらない。
後ろに壁もあるから、逃げ場もない。
指と指の隙間から辛うじて息ができるくらいだ。
一体、何なの~!?
私に恐怖の気持ちが襲い始めた時。
「…悪いけど、ちょっと黙って」
私の頭上から声が降ってきた。
…あれ?どっかで聞いたことある気が…。
抵抗をやめて、頭上を見上げる。
私は息をしようと必死になっていたのも忘れるくらい、驚いた。
「もがっ!?」
うそ…
―――私の目に映ったのは、私の大好きな俳優のハルカの姿だった。