近いようで、遠い存在のキミ (完)
「子供っぽいって言いたいんでしょ?どうせ…」
でも、怖いものは怖いんだもん…。
ゆうくんの顔を見上げるけど、まだ部屋の中は暗くて見えない。
ふっとゆうくんが笑ったのが聞こえた。
「いや、かわいいなって」
「え、わっ」
ゆうくんの言葉にビックリして後ろに1歩下がったのと同時に、何かに足が当たって、転びそうになる。
…けど、その私の身体を抱き抱える、力強い腕。
「…危ないから、動いちゃダメ」
頭上から、ゆうくんの呆れたような低い声が聞こえてきた。
う…その通り、です。
「ご、ごめんなさい…」
「ここにいて」
ゆうくんの手が、私の頭をポンポンと撫でる。
私は恥ずかしくなって、何か話そうと頭をフル回転させる。
少しだけ冷静さを取り戻したおかげで、停電であることに気付く。
「…これって停電だよね…?まだ直らないのかな?」
「…そうだね」
会話が止まる。
話、続かない…。
でも、今は沈黙も心地いい気がする。