近いようで、遠い存在のキミ (完)
―――ぱちっ
急に部屋が明るくなる。
「あ。ついたね」
冷静なゆうくんに対して、
「わっ!」
ビックリする私。
眩しくて、つい私はゆうくんの胸に顔を埋めてしまう。
あ、やっぱり何か安心する………って違ーーーうっ!
すぐに我に返る。
何してるんだ、私!
「あっ!ごっごめん!!!」
慌てて、ゆうくんから離れる。
まだ眩しくて、薄目でゆうくんを見る。
目が明るさに慣れなくて、ゆうくんの表情は見えない。
「……いや。うん」
だんだんと視界がはっきりとしてきた。
すぐ目の前にはゆうくんの優しい笑顔があった。
ホッとする。
「…もう大丈夫かな?雷さんもどっか行っちゃったみたいだしね」
からかいを含んだゆうくんの声。
反論したくても、できないし…。
「う…あ、ありがとう…一緒にいてくれて」
私がペコッと頭を下げると、ゆうくんの手が頭にポンと乗った。
「いや、いつでもどうぞ?」
「あ、はい」
「素直でよろしい。」
「あはは…」
本当は、イエスなんて言っちゃいけないんだと思う。
甘えちゃいけないんだと思う。
でも…今は現実のことは封印した。