近いようで、遠い存在のキミ (完)
「じゃあ、帰るね?りっちゃん、勉強あるでしょ?」
「う、忘れてた…」
ていうか、今日勉強したこと、ほとんど飛んじゃってるし…。
それどころじゃない…。
「あと少し、がんばれ!」
「うん、ありがと!」
「頑張ったらご褒美あげるよ?」
「ケーキ食べたい!」
「あ、急にヤル気出てるし」
二人で笑った。
現金な私。
ゆうくんの一言でヤル気が出るんだもん。
「じゃあね」
「ほんと、ありがとう!」
ゆうくんが笑顔で手をひらひらと振りながら、玄関から出ていく。
パタン
ドアが閉まった瞬間、私はその場に座り込む。
ゆうくんが自分の部屋に入っていく音が聞こえる。
「……うぁぁ~…」
どうしよう…。
やっぱり、私、ゆうくんが好きだ…。
傍にいてほしい。
彼女がいるってわかってるのに。
無理だってわかってるのに。
止められないよ…。