近いようで、遠い存在のキミ (完)
「…ねぇ、りっちゃんって、好きな人いるんだよね?」
「えっ!?」
私はベンチから落ちそうな勢いで顔を上げて、ゆうくんの顔を見た。
そこには真剣な目のゆうくん。
じっと私を見る。
「あ、あの…えと…」
「――でしょ?」
「――っ」
ゆうくんは私から視線をはずしてくれない。
…逃げられない…。
観念して私はコクンと頷いた。
ゆっくりと口を開く。
「……うん、いるよ」
すぐ目の前にいるのに、手は届かない…。
涙を必死に堪える。
今泣いたら、この想いがバレる。
ていうか、好きな人いるなんて言ったことないし、もしかしてバレてるのかな…?
「やっぱ、そうなんだよね…」
ゆうくんが苦笑する。
やっぱり、気付いてる…?
迷惑、かな。
「やっぱり叶わないのかな…」
ゆうくんが呟くように言う。
私は耳を疑った。
「――…え?」
何が叶わないの…?
だって、彼女いるでしょう…?
それとも、想いを寄せてるってことなのかな…?