近いようで、遠い存在のキミ (完)

　

「――やっと…オレの居場所、見つけた」


ゆうくんはそう言って、私のまぶたにキスを落とした。



――――…


「私が二股してる！？」


何それ！？


「付き合ってる人がいるって、りっちゃんが言ったんだよ？だから、二股なのかなって」


「いやっ、そんなわけないし！なんで…」


そんなこと言ってないのに…！


私はパニックだ。


「だからキスも我慢したのにさ」


「―――！な、なにそれ！？」


私の顔が熱くなるのがわかる。


ニヤッとゆうくんが笑った。


「…まぁ、でも、りっちゃんのその真っ赤な顔見たら…好きな相手がオレ、ってのは間違いないとは思うけど」


「…ば、ばか！」


私は頬を手で押さえる。


っていうか、私、付き合ってる人いるなんて…


キス…？


「あっ！…わかった…あれは、『ゆうくんには付き合ってる人がいるし』…って意味で…」


「それこそ言ってないし」


「だって、あみさん…」


「あみは仕事仲間だし、あいつが彼女とか絶対無理だし」


「―――！」


う、私の勝手な勘違い！？


「なんだそりゃ…」


力が抜ける…。