近いようで、遠い存在のキミ (完)
ゆうくんがベンチから立ち上がり、私の目の前に手を差し伸べてくれる。
えっと…
触れても…いいのかな…。
私が悩んでいると、ゆうくんが急かすように私に手を近付けた。
「りっちゃん、行こ?」
「……うん」
恐る恐る手を持ち上げる。
そして、そっとゆうくんの手に触れた時だった。
ぐいっ
思いっきり腕を引っ張られる。
「わっ!」
そして、あっという間に私はゆうくんの胸の中。
私を優しく包んでくれる。
「…やっと捕まえた。ずっと、こうしたかった」
心臓が高鳴る。
「………うん…」
「これからずっと…よろしくね?」
ゆうくんはそう言って、私に唇を重ねた。