近いようで、遠い存在のキミ (完)
――――…
「TAKUMIって知ってるよね?あいつが、あみの旦那」
「―――…!?」
TAKUMIって…
あのアイドルグループの!?
ビッグカップル過ぎて、私は驚きの声も出せなかった。
「これ、秘密ね」
ゆうくんは唇に人差し指を立てる。
私は首を縦にブンブンと振る。
言うわけない……ってか、言えるわけない…!
バレたら日本中が揺れるんじゃないかな…。
「あいつら、よくケンカしてオレんとこ来るんだよね。完全な駆け込み寺」
「そ、そう…」
っていうか、ゆうくんの周りって…華やか過ぎる…。
やっぱり、芸能人なんだな…と再確認してしまう。
私はふと、ゆうくんの服を掴んでみる。
「…りっちゃん?」
…でも、ゆうくんは近くにいてくれるから。
傍で私の名前を呼んでくれるから。
ゆうくんが何者であろうと、そんなの関係ない。
これからもずっと一緒にいれることを、私はただ祈るだけ…。