近いようで、遠い存在のキミ (完)
―――…
そのハルカ本人が目の前にいる。
ウソみたい…。
私は目の前の状況を信じられなくて、ハルカの顔をただ眺めることしかできない。
ハルカは表通りに背を向け、表通りの様子を気にしているようだった。
…う……ヤバ……
本気で苦しくなってきた…っ!
もう、限界…!
「むぐぐ~…」
私はハルカの腕をトントンと叩く。
――ハルカの目が私を向いた。
ドキッ
「――あ、ごめんな?」
やっと、ハルカが私の口から手を離してくれる。
ぷは~と、私は酸素を供給する。
い、生き返る…。
「ちょ…っ」
呼吸を整えた私が口を開こうとすると、ハルカの指が軽く私の口を塞ぐ。
「しー、な?」
口元に笑みを軽く浮かべるハルカ。
う…っ、怒ろうにも怒れないじゃん!
カッコ…良すぎる…。
ただそこにいるだけで、惹き付けられる。
私はただコクコクと頷くことしかできなかった。