カラフル。
そこには見知らぬ男が立っていた。
私よりも4、5歳程度年上の、知的そうだが気さく…そんな印象を相手にもたらす、清潔感のある美男だ。
「あなたは?」
「失礼致しました。…私、こういうものです」
「ボランティア団体…KEQ…?」
名前は梶谷麻琴と書いてある。
「下原さんの…お姉さんが、この団体に所属していたのはご存知でしょうか?」
「…いいえ。私には関係ないことなので」
嘘だ。
姉がボランティア活動を頻繁にしてたことは知ってる。
けれど姉は2年前に事故で死んだ。
今更何だと言うんだ。
「失礼します」
私は鍵を躊躇無く開け、中に入ろうとする。
しかし長い腕が横から伸びてきて、それを遮られた。
「優奈さんと私はお付き合いをしていました。…かつての恋人です」
「…それが…何か?」
「…驚かないのですね」
「先ほども申した通り…私には関係のないことです。お引き取り願います」
あたしは中に入ってドアを閉める。
それと同時に外から聞こえてくる声。
「ボランティアを!!」
「…!」
「ボランティアをやってみませんか!?」
――それは寒い寒い冬の月夜のことでした