【BL】受取人のいないバレンタイン
「なぁ悠はチョコもう貰った?」
「ううん、貰わないよ。和志は?」
「ぜんぜん」
悠と言うのは僕の名前。和志は何故自分がチョコを貰えないのだとブツブツと何かを言っていた。
「悠」
「ん?」
教科書などを鞄から出し机にいれていると和志がふと思い出したように声を掛けてきた。
そして、少し言いにくそうに話を切り出す。
「……今年もあいつにチョコ持ってきたのか?」
その言葉に一瞬、手が止まる。
「うん。放課後、渡しに行くんだ…」
「そっか……よしっ」
一瞬何かを考えた素振りをして和志は立ち上がる。
「どうしたのさ」
「サボろう!」
「は?」
「今日は珍しく晴れてるしさ、屋上に行こうぜ」
「え、あぁ…うん」
そう言って僕たちは鞄を持って屋上へ向かった。