【BL】受取人のいないバレンタイン





「和志」
「んー」
「ありがとう」
「んー」

 屋上へつながる階段で言う。屋上に出ると和志の言うとおり、少し風が冷たいけど陽が出ていて暖かい。

 いつの間にか眠っていたようで空が茜色になっている。

「悠起きたの?」
「ん、」
「あいつのとこ行くんだろ」
「いく」

 まだ覚醒しきれていない頭で鞄を持ち、屋上からでる。すると、和志も何故がついてくる。

「なんでついてくんの」
「俺も行く」
「普通今日くらい2人にさせてくれないの」
「そう言ってお前去年も行かせてくれなかったじゃん」
「……」

 何を言ってもついてくるだろうから何も言わないことにした。確かに、去年も同じようなことを言って引いてもらった。




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