【BL】受取人のいないバレンタイン
「恚ちゃん、遅くなっちゃってごめんね。今年は和志も一緒だよ」
僕たちが来たのは学校からそう遠くない交差点。その一角にたくさんの花束が置いてある。
そこに近づき、しゃがみ込む。そして持ってきたチョコを鞄から出して置く。
「今年はトリュフをつくったよ」
どんなに話しかけても、返答はない。
「じゃぁ、もう行くね」
それから数時間、最近の出来事を話し、陽が姿を隠して辺りが真っ暗になって、重くなった腰をあげる。
「お前いつもこんな長時間いるのかよ」
「うん、ごめんねつきあわせちゃって」
「いいよ、帰るか」
「うん」
暫くの間お互い何も言わずに歩く。