お嬢と使用人
おじいちゃんの遺言
事の起こりは二週間前。
夏休みのある日、いきなりお母さんに言われた一言。
「明後日は汐里の誕生日ね。
……ずっと黙ってたことがあるんだけど、
大事な話だからよく聞いて」
今まで見たことのないお母さんの真剣な表情に圧倒され、私はただ黙って聞いた。
「10年前に死んだ、あんたのおじいちゃんからの遺言書が出てきて、
"汐里を養子にする"って書いてあったの」
「……は?」
「それで、"汐里に婿をとって家を継いでほしい"……って……
最後にとんでもないものを残したのよ、あのオヤジ……」
………………は?