桜☆武勇伝
「ごめん、帰るよ。お大事に」
胸が苦しい。
これ以上ここにいたくない。
「ちょっ、待てよ!」
ガラガラ…
「あっ…」
病室の外にいた北条があたしと目が合って声をもらす。
「なぁ!」
バタン…
追いかけてくる禅。
「サク!!」
「ここ、病院だよ…。静かにして」
「……」
ごめん、禅。
「……逃げんのか?」
深く低い声に周りが息を呑んだ。
「…仲間がやられたんだぞ!!」
「……もう、仲間でもなんでもない」
「っ…」
禅が黙りこんで、あたしは歩き出した。
「じゃあなんでここに来た?」
「……」
「なんで俺らの前に現れたんだ…?」
「………ごめん」
あたしは足を止めて小さく呟いた。