桜☆武勇伝






「ごめん、帰るよ。お大事に」

胸が苦しい。

これ以上ここにいたくない。

「ちょっ、待てよ!」

ガラガラ…

「あっ…」

病室の外にいた北条があたしと目が合って声をもらす。

「なぁ!」

バタン…

追いかけてくる禅。

「サク!!」

「ここ、病院だよ…。静かにして」

「……」

ごめん、禅。

「……逃げんのか?」

深く低い声に周りが息を呑んだ。

「…仲間がやられたんだぞ!!」

「……もう、仲間でもなんでもない」

「っ…」

禅が黙りこんで、あたしは歩き出した。

「じゃあなんでここに来た?」

「……」

「なんで俺らの前に現れたんだ…?」

「………ごめん」

あたしは足を止めて小さく呟いた。






< 35 / 37 >

この作品をシェア

pagetop