僕等の恋に愛はない
「ノリくん、久しぶり。今日はね、お母さんお嫁様なの」
「うん。スカートまでは許せるけど、一ヶ月ぶりの登場がまさかウエディングドレスになるとは思わなかったよ…」
結姫の脇の下に手を入れ立たせた椿改め祝詞は、頭の後ろに手で触れた。
「…それにしても…髪上げるの椿嫌がらなかった?」
「うん!綺麗にしてくれて嬉しいって言ってた!ユウも綺麗だねって言ったの!」
「ふーん…おかしいね。いつもは絶対髪結ばないのにね。僕がいない間に人は直ぐ変わっちゃうんだよね」
白い肘まである手袋(グローブ)に包まれた両掌を見つめ、祝詞はニコリと笑んだ。