僕等の恋に愛はない

 難なく子供を騙し、控え室から出ることに成功した祝詞は、結姫の手を引き建物を出た。


 ただ気になるのは人の視線。


 「人に見られてる。気持ち悪い。ユウちゃんのせいだ」


 緑の強い金髪に白眼の結姫を見下ろす祝詞は、果てしなく大人気なく、そして馬鹿だった。


 「違うよ。何時もはそうだけど、今日はノリくんが花嫁様だから見られてるんだよ」


 「あ…そうだった。今の僕(椿)はウエディングドレス…静の花嫁…」


 突然立ち尽くしたウエディングドレス姿の少女に、人々の視線が突き刺さる。

 
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