僕等の恋に愛はない
「静はお母さんのモノだろ!ユウに近づくな!」
訳するとすれば「結姫の隣に座るな」となるわけだが、素直じゃない少年、麗(あき
ら)がビシっと静を指差す。
指差された指をはたき落とし、静が笑う。
「人を指差すな」
俺様王子キャーと隣に座る女子が騒ぐも気にせぬ静と、俺はまだ結姫にカッコイイって言われたことないのにと怒る麗。
「静くんは大人だから椅子譲ってよ!」
「大人だから疲れる」
透き通る白髪を振り乱し少年、砂音(さのん)は静を指差した。