僕等の恋に愛はない
「あと一時間、か…間に合うと思うか?」
「式なんかどうでもいい。椿ちゃんは安全?今どこ、誰といる、何してる」
半ば逆切れに見えなくもないが、静の気持ちもわからないでもないので狼狽は携帯を開いた。
「連絡つかないよ。控え室に携帯置いてあったから」
ポケットから椿の携帯を取り出して見せた静に、狼狽のテンションも下がっていく。
「ま、まさか!誘拐?!ありえなくもないな!俺の妹だし!超可愛いし!天使に間違えられて誘拐されたのかも!!」
しがみ付いてくる馬鹿(シスコン)を突き飛ばし、静は「馬鹿じゃないの」と言ってあげた。