僕等の恋に愛はない
「ユウちゃんは椿のこと好き?」
時間稼ぎに過ぎないが、とりあえず聞いてみた。
聞けば、隣に座った結姫の目が輝く。
「うん!大好きだよ!」
「…なんで?」
自分以外の人間が椿を語ることなど許せない祝詞だが、気になった。
他人が何故椿を好きだと言うのか。
結姫の場合は、娘だからというのもあるのだが、その考えは祝詞にはない。
「だって可愛いもん」
「うん。可愛いね。椿は世界一可愛いよ」
「それに優しいの!」
「うん。椿は女神の生まれ変わりなのかと思うくらいに優しいよね」
馬鹿が二人いた。客観的にみれば痛い子。四歳児(結姫)はともかく、24歳の祝詞はいけない。危ない人にしか見えない。