ランデヴー II
金曜日の課会で、私は紗英ちゃんと約束した通り、担当替えを提案してみた。
紗英ちゃんがもっと仕事を割り振って欲しいという意欲を持っていること。
だからそろそろ製品の担当を任せてみたらどうだろうか、と。
私が受け持つアルファベットのEから始まる品番は、比較的トラブルの少ない案件だ。
だからそれを引き継ぐのが良いのではないかと話を続けようとしたその時。
「別にいいんじゃない? 俺が持ってる中で比較的楽なヤツ受け持ってくれたら有り難いし」
「うん、いいよ。今村がやりたいって言うんだったら」
榊原さんがあっさり自分の担当を押し付け、それに佐原さんが頷いたのだ。
一瞬ぽかんとしてしまう。
「大地は? 何か任せたいものある?」
「あー、そすですねぇ……。俺もP品番引き取ってもらえると有り難いです」
「オッケ、じゃぁそれと……坂下は?」
そう榊原さんに振られ、私は反射的に首を振ってしまった。