ランデヴー II
「ゆかりちゃん……私に仕事取られるのが嫌なんでしょ」



……正直、理解ができなかった。


何故そういうことを言い出すのか、さっぱりわからない。


さすがに私も不愉快な気持ちが込み上げる。



「どういうこと？」


「だって、そうでしょう？ 約束したのに……ゆかりちゃんの担当、私にくれるって……」


「……は？」


約束……確かにそのつもりだったが、あの状況で私に一体何を望むのか。


そもそも彼女の願いは、仕事を増やして欲しいと、製品を担当したいと、そういうことだった。


だったら、誰の仕事でも構わないはずだ。



「私はあの状況で紗英ちゃんに仕事を押し付けるようなことはできないし、例え誰の担当であっても仕事内容は変わらないはずだけど？」


ざわざわと不快な音を立てる心を抑えながら、私はそう返した。


はっきり言って、紗英ちゃんが言っていることは言いがかりだ。


本気でそう思っているならもうそれでもいいが、変な被害妄想はやめて欲しい。
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