ランデヴー II
『あ、ちょっと待って下さい』


と、慌てたように呼び止められた。



「まだ何かあったっけ?」


『いえ、その……。今村さんのことなんですけど……』


「今村さん?」


私はそう名前を繰り返すと、隣の席へと視線を移す。


彼女は今席を外しているらしく、不在だった。



『はい。彼女、最近変わりましたよね……?』


「あ……うん。そうだね」


倉橋君と紗英ちゃんは去年の歓送迎会で面識ができた訳だから、あの激変っぷりについてももちろん気付いているはずだ。


だが何故彼がその話を持ち出すのだろう、と首を傾げる。



『あの、そのことについてちょっと話したいんですけど……午後のミーティングの後、少し時間ありますか?』


「え? ……大丈夫だけど」


『有り難うございます。じゃぁ、その時に』


そう言うと、電話はあっさり切れた。
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