ランデヴー II
紗英ちゃんが何故そこまで私を疑うのか、気持ちがわからなくもなかったからだ。



好きな人がいたら、不安や猜疑心でいっぱいになることだってある。


小さな事が気になって眠れなかったり、勝手に被害妄想をして悲しみに打ちひしがれたり……私にだってそんな経験はある。


だからそんな彼女を安易に怒る気持ちにはなれなかった。



「……本当?」


掠れた声でこわごわと聞かれ、私は大きく頷く。



「本当」


紗英ちゃんはそれを聞き、大きく息を吐いた。


そして、眉根を寄せて怯えたような顔で口を開く。



「ゆかりちゃん……。私と友達、やめる……?」


チラリと不安げな視線を向ける紗英ちゃんの言葉に、私はすぐに答えることができなかった。



彼女に対する私の気持ちは、良いものではない。


それは結局紗英ちゃんがまるで生まれ変わったかのように変身したあの時から、変わることはなかった気がする。
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