ランデヴー II





家の鍵を開けて中に入った私は、重い荷物を下に落とすようにして、倉橋君をドサリと廊下に降ろした。


さすがに泥酔した大人の男を1人ここまで連れて帰るのは、想像以上にきつい作業だ。


倉橋君もそれなりに足は動かしてくれるものの、それ以上に私を困らせたのは、歩きながらも船を漕ぐという荒技だった。



彼は、とにかく眠り王子だった。


最終で混み合う電車の中で、そのたくさんの人達を利用するように寄りかかったまま眠りの中だ。


相当眠いらしくほぼずっと意識がなかった倉橋君はもちろん足取りも不安定で、時々力が抜けたようにあさっての方へと飛び出しそうになる。



やはりあまり睡眠がとれてないのだろう。


そう考えると怒る気にもなれずに抜け殻のような倉橋君を励ましつつ、ようやくここまで連れて帰ったのだ。



だが……。


まるでほふく前進するかのように玄関に倒れ込んだ倉橋君を見下ろし、どうしたものかと考える。
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