ランデヴー II
今自分のしていることが大変なことなんじゃないかとドキドキしたり、人助けなんだから仕方がないと言い訳をしたり……色んな思いを行ったり来たりだ。


今更になって我に返り焦ったところで、もはや取り返しはつかないのに。



でも……悩ましく思う気持ちはあっても、不思議と後悔するような気持ちは湧いて来なかった。


それどころか、彼を見捨てずに連れて帰って本当に良かったと心の底から思う。


きっとこんな状態では1人で家まで帰れなかっただろうし、それに――。



今眠れるのなら、好きなだけ眠らせてあげたい。


そう思うから。



「倉橋君、もうちょっと頑張って」


とりあえず私はそう言ってすやすやと寝息を立てる倉橋君を再び無理矢理立たせると、ずるずると引きずるようにして部屋へと運び、ベッドへと降ろした。



「はい、布団着て、風邪ひくから」


「んー……」


声をかけると億劫そうに転がる体に布団をかぶせ、何とかベッドの中へとその長身を納める。



今度こそしっかりと寝床に収まった倉橋君に満足した私は、大きく息を吐いた。


そしてうーんと背伸びをしながらキッチンへと向かい、冷蔵庫からペットボトルを取り出す。
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