ランデヴー II
ゴクゴクと喉を鳴らして水を流し込むと、何だか頭がスッキリ冴えてくるような気がした。


一夜明けたら筋肉痛になってるかもしれない……と、倉橋君を支えていた腕をすりすりとさする。



明日は早めに起きて、倉橋君を家に帰さなければならない。


ぼんやりと考えを巡らせると、家に帰りたくないと言った倉橋君が頭に浮かんだ。


一体何があったのだろう……聞きたくても、彼は今夢の中だ。



私はペットボトルを冷蔵庫にしまって再びリビングへ戻ると、倉橋君に近付いた。


そこには気持ち良さそうに体を上下させて睡眠を貪る彼の姿がある。



ベッドの傍らに腰掛け、しばらくその無防備な寝顔を眺めた。


明るい光の下、何だか特別な時間が流れているような気がしてくる。


ドキドキと高鳴る胸の音だけが、この空間の存在を証明しているかのようだ。



やっぱり、彼の顔は綺麗だ。


長い睫毛と整った顔立ち。


少し落ちた頬の肉とスッと伸びた鼻筋が、以前よりもその顔を精悍に見せる。



そして……小さく開いた唇。
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