ランデヴー II
それをじっと見つめていると、不意に2年前のキスを思い出した。


たった1度の乱暴だけど、優しいキス……。


思い出すだけでざわりと胸が震え、切ない気持ちが溢れる。


あんなにも傍で過ごした日々のことも、今となってはまるで夢だったかのように感じた。



私は腕を伸ばすと、そっとその唇に触れた。


静かに輪郭をなぞると、「ん……」と寝返りを打った倉橋君の顔が私の方へと向けられる。


その仕草にドクンと胸が高鳴り、慌てて手を引っ込めた。



だが彼は今、深い深い眠りの中だ。


目を覚ましそうな気配は、ない。



「倉橋君……」


そう、呼びかけてみた。



倉橋君、倉橋君……。


心の中で何度も名前を呼ぶと、胸がキュッと締め付けられて一気に泣きたい気持ちになる。
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