ランデヴー II
「え、まだ時間より前だよ?」


「俺が早く来るのを見越して待ってろよ」


クスッと悪戯っぽい笑顔に、一瞬ドキッと胸が弾んだ。



最近、彼の笑顔にときめく自分がいる。


男っぽいと思ったらヤンチャだったり、クールだと思ったら優しかったり。


モリケンの色んな面を再発見する度に、どんどん彼に惹かれていくような気がした。



少し照れた私がそっと目を逸らすと、「何?」と言って視線の先へと追いかけてくる。



「何でもないよ……。どこ行くの?」


若干目を泳がしつつ尋ねると、モリケンは「とりあえず、飯行こう。腹減ったー」と言って歩き出した。


私は慌てて後ろを追いかけ、遠慮がちに隣に並ぶ。


2人の間にある隙間を風が通り抜け、それを少しだけ寂しく感じた。
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