ランデヴー II
映画を見ながらポップコーンを食べた私達はあまりお腹も空かず、最終的には夜景の見えるバーへと落ち着いていた。
窓際に面したカウンター席で2人肩を並べて座ると、目の前に光のパノラマが広がった。
遠くにはキラキラと光を放つ橋がその存在を主張し、水面に浮かぶ船も暗闇を彩っている。
無邪気な気持ちで夜景を見ることができたらこの上なくロマンチックなシチュエーションなのだが、あまりにもムード満載な雰囲気に私は少し居心地の悪い思いだった。
さっきまで楽しげに話していたモリケンも、今は静かに煙草の煙を燻らせている。
疲れたのだろうかと、ちらりとその顔を覗き込むと、モリケンがふと私の方に顔を向けた。
思わず瞳が合い、鼓動が脈打つ。
モリケンはキュッと眉根を寄せ、真剣な眼差しだった。
「あの、さ。この前の返事……聞かせて欲しい」
何となく予感していたことを口にすると、モリケンは灰皿に煙草を押し付けて火を消した。
それはデートに誘われた時から感じていたことで、私もその返事をしなくてはならないと考えてはいた。