ランデヴー II
私は思わず視線を逸らすと「うん……」と頷く。


心臓がドキドキと、うるさいほどに音を立てた。



静まれ、静まれ……とそっと胸に手を当てる。


そして口を開いて小さく息を吸い込んだ。



「あの……。私、で良かったら……」


「……え?」


「うん、えっと……。よろしくお願いします」


カウンターに手をかけて頭を下げると、まるで窓の外に向かってお辞儀をしているようだった。


ただモリケンの顔を見ることができなくて、どんな顔をすれば良いのかわからなくて。


そのまま視線を落とす。



「まじ……?」


小さく、掠れたようなモリケンの声が聞こえてきた。


その言葉に、小さく頷く。
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