ランデヴー II
「良かった……」


そう脱力気味な声が聞こえ、私はやっとモリケンに顔を向ける。


すると薄暗く照らされる照明の下、はにかんだように微笑むモリケンの姿があった。


視線を交わすと、やっぱりちょっと照れ臭い。



「断られるかと思った……」


「え……何で?」


「いやだって……お前、俺のことただの同僚としか見てなかっただろ?」


そう言われ、その通りだと思う。


確かに少し前までのモリケンは、私にとって同僚であり友人だった。



でも――今は違う。


モリケンにときめく気持ちが確かにあるし、そんなモリケンに応えたいと素直に思えた。



きっと、こうやって始まる恋もある。


そう思っている。
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