ランデヴー II
「それにしても2人が上手くいって良かったわー。だから私は最初から倉橋君にしとけって言ったのに」


「ちょ、佐和子! 余計なことは言わないで!」


「何々? 大森さんそんなこと言ってたんですか?」


「そうだよ。それなのにゆかりったらあっちにフラフラ、こっちにフラフラ、寄り道ばっかりしてさ」


「フラフラって……別にそんなつもりじゃ……」


やっぱり2人で来るのはやめておけば良かった……と後悔の溜息を吐きながら、私も目の前のロールケーキに手を伸ばした。


このケーキは買うのに行列ができる程のお店で、たっぷりのクリームが美味しいんだ。



「私倉橋君のことで少なくとも2回はゆかりに泣きつかれてるんだからね? その度に励ました私に感謝して欲しいわ」


「佐和子! だからその話は――!」


「ゆかりさん、付いてるよ」


慌てて佐和子の口止めをしようとした瞬間、突然光輝の手が私の頬に伸びてくる。


彼はそうして指に付いたクリームを口に運ぶと、躊躇うことなくぺろりと舐めてしまった。
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