ランデヴー II
そっとカーテンの隙間から外を覗くと、想像以上に土砂降りだった。


こんなにも降るなんて、聞いていない。


最近の天気予報はちょっとずつズレてる……と小さく溜息を吐き、カーテンを閉めた。


雨は私に色んな記憶を呼び起こさせる……。



「どうしたの? 急に……」


何故訪ねてきたのか……不安に思いながら、聞いてみた。


事前に連絡をくれればいいのに、突然だから胸が騒ぐのだ。



「いや、お前の忘れ物持って来た。会社じゃ渡せないから。……悪い、濡れたけど」


そう言って賢治が差し出したのは、紙袋だった。


中には化粧品や歯ブラシ、数枚の洋服などが入っている。



こんなの……捨ててくれて良かったのに……。


そう思ったが、言えなかった。


せっかくの厚意を無にしたくなかったし、それに。



もしかしたら、忘れ物は口実なのではないかと思ったからだ。
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