ランデヴー II
罪悪感と申し訳なさから後ろを振り返ることができずにいる私を急かすかのように、再びインターホンの音が鳴り響く。


私はもう何をどうすればいいのかわからなくなり、とりあえず受話器を取って「はい」と返事をした。



「坂下さん?」


問い掛ける倉橋君の声は訝しげだ。


それもそのはず。


全く応答がなかった上に、私は返事をしただけで解錠する気配がないのだから。



どうしよう……今開けたら賢治と倉橋君が鉢合わせしてしまう……。


背中に賢治の視線をひしひしと感じながら、しばらく無言でその場に立ち尽くす。



「ごめん倉橋君、ちょっとそこのコンビニで――」


咄嗟に口を衝いて出た言葉は、我ながらいいアイデアだと思った。



そう、時間を稼げばいいのだ。


何か買い物を頼もうと。


その隙に賢治には帰ってもらおうと。



そう考えた。
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