ランデヴー II
「俺達……もうやり直せないんだな……」


ぽつりと呟く賢治は、私の答えを知っている。


それでもあえて聞く賢治に、今日ここに来た意味を教えられている気がした。



しばらく2人、見つめ合う。


静かな静かな時間だった。



そして……私は小さく頷いた。


もう、やり直すことはできない。


私は倉橋君の傍にいるって……いたいって、決めたから。



ふと、賢治が微かに笑ったような気がした。


そうして瞬間、キュッと唇を結ぶ。



「そのうちまた、普通に笑って話せるように努力する」


目を逸らして感情を抑えたように話す言葉に、強く胸を打たれた。


それがどんなに難しいことなのか、私は知っているから。


それでもきちんとそう言ってくれる賢治の気持ちに、胸が熱くなる。
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