ランデヴー II
突然のことに驚いて何も言えずにいる私を見て、モリケンはクスッと笑みを浮かべた。



「今日、俺んち泊まる?」


初めて見るその誘うような目つきに、心臓が破裂するんじゃないかと思う程に暴れ出す。


こんなにもストレートに誘われると、何故か体の奥が疼くようだった。



「朝、家まで送るから。……いや?」


返事をしない私により一層妖しさを増した瞳で囁くモリケンは、ものすごく艶っぽく見えて。


背筋がぞくりと震えた。



「いい、よ」


そう小さく頷くと、これから起こることが少し恥ずかしくなってきて、つい俯いてしまう。


だって、相手はずっと友人として付き合ってきた人だ。


やっぱりどうしようもなく、照れが入り交じる。



でも恋人同士になったんだから、当然の行為だと。


こうして、私達の距離は近付いていくのだと。



何故かそう言い聞かせるように心の中で呟く自分がいた。
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