ランデヴー II





モリケンの家は会社からとても近い場所にある。


初めて足を踏み入れる少し広めのワンルームは、思っていたよりも綺麗に片付いていた。


知り合いのつてで安く借りているから綺麗に使わないと怒られると、以前ボヤいていたのを思い出す。



すぐにエアコンが効き始め、部屋の中が暖かくなってきた。



「そう言えばお前、合コン断った?」


キッチンでなにやらゴソゴソとしながら、モリケンが尋ねる。


いつまでも合コンにこだわるモリケンがおかしくて、クスクスと笑いながら「断ったよ」と答えると、「そっか」と安堵したような声が聞こえてきた。



役員室に用事があった時のついでに、みっちーには断りを入れた。


理由を聞かれるかと思っていたが意外とあっさり了解され、少し拍子抜けしたものだ。


もしかしたら、ちょうど忙しい時だったのかもしれない。



みっちーにも報告しないとなぁ……と思っていると、目の前に冷たいお茶が置かれた。
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